絵描きさんに感想を送りたいけど、失礼になったらいやだな……。どんなふうに感想を送ればいいんだろう?
感想いらないっていう絵描きさんもいるみたいだし、うざいと思われたらどうしよう……
と悩んでいる人向け、【絵描きさんに感想を送るときに、自分がもらって嬉しかった感想を参考にしています】という記事。
SNSですてきなイラストを見ると「感想を送りたい」と思ったりする。けど、「こんな感想をもらった。悪気ないんだろうけどイラつく」みたいなつぶやきもちらほら目にすることが多く、「イヤな思いをさせてしまうくらいなら感想送るのやめとこ」と、ためらってしまうこともある。
このブログの解析にも「感想 マナー」みたいな検索ワードがあったりして、多くの人が「これさえ守れば嫌われないから安心ですよ!」みたいなルールやマナーを欲しているのかなと感じる。
自分も長いことネットで創作をしていて、長いこと「これって相手からどう思われるかな」「不愉快にさせたらどうしよう」と気にしてきたけど、当然ながら万人に好かれる方法なんてない。
人によってそれぞれ考え方も受け止め方も違うし、他人の心を読めるわけでもないし。
最近やっとたどり着いた答えが「相手の意向があるならそれを優先し、ないなら自分と引き比べてせいいっぱい誠意を込めて考える。それでダメならもうしょうがない」ということ。
つまり、「自分がどんなふうにどんな感想をもらうと嬉しかったか」というのを思い出して、参考にするしかないよなと思っている。それでキレられたらもうしょうがない。
相手の意向があるならそれを優先させる
「感想は要りません」という人もいるし、その旨をプロフィールに書いている人もいる。
そういう場合は、いくら感想を送りたくてもやめておくことにしている。
どういう事情で「感想は要りません」と言っているのかは他人には分からないことなので、言葉を額面通りに受け取って相手の意向を尊重するしかない。
「感想要らないとか言い出したけど、感想来ないから拗ねてるのかな? 本当は感想くれってことかな? 機嫌をとってあげたほうがいいかな?」みたいな深読みをしている人がいて驚いたのだけど、もしそんな隠された意図があるとしたら自分にはお手上げだからもうしょうがないし、きっと友達にもなれないと思う。
自分はどんな感想をもらったら嬉しかったか
「どんな感想が喜ばれるの?」というのは人それぞれ違うから、自分を基準に考えるしかない。
だから、自分が言ってもらって嬉しかった感想を参考にしている。そしてこれは、日々アップデートされている。
絵を描かない人も、人から言われて嬉しかった言葉や言い方を参考にできると思う。
どんなふうに伝わったのかを知れると嬉しい
絵描きが感想を欲しがるのって別に「褒めてほしい」とか「チヤホヤしてほしい」とかではなく、自分が表現したかったことが、どんなふうに伝わったかを知りたい、ということ。
見る人がどんなふうに感じたかを教えてもらえるのが興味深いし、今後描く上でも助かるし、嬉しい。
これは何も「作者の意図を正確にとらえて100字以内で書け」みたいな正解不正解があるわけではないし、「この絵のどこがどんなふうに好き」くらいでも十分、自分は嬉しい。
キャラの表情が好き、背景の描き込みがていねいで好き、色合いが好き、線のタッチが好き、シーンの切り取り方が好き、キャラが持っている小物が好き……などなど、自分も他の人の絵の「ここ好き!」というのを気軽に伝えている。
SNSという短い言葉のやりとりの場であるので、1W1H(どこが、どんなふうに)くらいな感じ。
人となりの見える相手から感想をもらえると嬉しい
あとこれはどういう心理なのか自分でも分からないけど、人となりの見える相手から感想をもらうと嬉しい。プロフィールやアイコンが初期設定のままの人よりも、好きな作品やCPが書いてあったりとか、自分で描いたアイコンを使っていたりとか、「そこに確かに人がいる」と感じられると感想をいただいた嬉しさが倍増する。
感想をくれた方のアイコンが猫の写真だったら「おうちに猫ちゃんがいる方なんだな」とか「石焼イモ」というユーザー名なら「うんうん、美味しいよね」とか、それだけで身近に感じられる。
以前初期アイコンで「監視用」というユーザー名のアカウントにフォローされたことがあり、別に何も嫌がらせとかされたわけではないのに、心が凍りつくような感覚があった。そのせいかもしれない。
自分のROM用のアカウントも、相手をムダにピリつかせたくないのでユーザー名やアイコンは自分らしさの出るものに変更している。プロフィールにも好きな作品や好きなCPを書いて「お仲間です」ということを示しておくようになった。
どんな感想が嬉しくなかったか
じゃあ、どんな感想が嬉しくなかったかというと、あまりたくさんは思いつかない。
ただ、返事に困って素直に喜べないことはあった。これは自分のメンタルにも左右されるので一概には言えないけど、
- 「上手いですね」←返事に困る
- 「誰々の絵に似てますね」←返事に困る
- 「この後こうなって、ラストはこうなるんですかね?(連載の先読み)」←ええ、そうですけど?
- 「もっと別CPも描いてください」←それは無理
たとえばこんな感じのこと。
"自分は"返事に困ったので、"自分は"他の人には送らない、というだけの話です。もらって嬉しい人もいるかもしれないけど私には他人の心は分からないので「自分がされてイヤなことはしない」しかやりようがない。
「上手いですね」
「絵が上手いですね」って、絵を描かない人でもピンとくるようにたとえてみると「あなたの顔、かわいいですね」みたいな感じかもしれない。場合によっては嬉しくないわけではないけど返事に困るというか。
気心の知れた相手から言われると嬉しいかもしれないし、そうでない相手から言われると真意を図りかねる言葉かもしれないし、自信を失っているときに言われると「やめてよ!」となるかもしれないし、なんとも難しい。
だから"自分は"言わないことにしている。
「誰々の絵に似てますね」
これも時と場合と相手によって受け止め方が変わって難しいと感じるので、"自分は"言わないことにしている。
「このあとこうなってラストこうなりそうですね」
自分は漫画を描く人なので、「このあとこうなるんですかね?」みたいにコメントで連載の先読みをされることがあった。
これをされると"自分は"描く気が薄れるので、"自分は"他の人には言わないようにしている。
先読みが外れていると「よっしゃ〜! 意表を突いていくぜ!」と思わないこともないけど、「ええ、全くその通りですけど? ここに数行で書かれたことを、これから私は何時間もかけて描いていくんですけど……?」となることもあったので。
「もっと○○も描いてください」
以前の自分はあまのじゃくだったので「もっと○○(キャラ名)も描いてください」と言われると二度と描きたくなくなってしまうことがあった。今は比較的素直になったのもあって気軽に描くけど、ここまで素直になるには20年くらいかかっている。
でも「○×(CP名)いいですよね〜! あなた様の描く○×大好きです! でも△○(別CP)もいいですよ? いつか描いてください!」みたいに言われるとシャッターを下ろしてしまうみたいなことはある。自分には無理なので。
さては前半の「褒め」は要求を通すための交換条件なのか……? みたいに、古代のほこらに封印されたはずのあまのじゃくが発動してしまうんだと思う。
ただ、自分が勝手に感じているだけで相手にそんな意図はないかもしれないので、「判断」や「断定」はしない。自分と相手は違う人間だから齟齬が起こるのはお互い様で、仕方ない。だから「失礼だ! マナー違反だ! そういうことは言うべきではない!」とは思わない。けど、私のあまのじゃくが発動してしまうことも、これは理屈でなく感情なので仕方ない。人と人が同じ場所で生きていく上で、お互いに仕方ない。あと、別CPは自分は描けない。
そういうわけで「別CPも描いて」みたいなことは"自分は"言わないようにしているし、自分が言われても「人それぞれ感覚が違うから仕方ないことだ」と考えるようにしている。
あと、なんとなくこうしていること
自分もあまりコミュニケーションが得意ではないので、感想を送るときには「相手にも負担にならないように」というのをつい優先して考えてしまう。
せっかく感想をもらっても返信するのが負担になることがあったので、こちらも相手に返信の手間による負担をかけさせたくないという気持ちがある。これはいつも、つい考え過ぎてしまう。
だから、返信が必要なわけではない場合は「返信不要」の旨を付け加えることが多い。というか作品を読んであふれ出すこの感動やら「描いてくれてありがとう……!」の感謝を伝えたいだけなので、返信が必要なことは特にない。
「返信不要です。」だとなんかつっけんどんな気がして、他の方が使っていた「返信などはお気遣いなく!」みたいな言い回しを真似させてもらっている。
「返信が来ないことが怖いから『返信不要』って書いてる。こう書いておけば返信がなくても諦めがつくから……」と言っている方を見かけて、そんな理由で「返信不要」と書く人もいるのか、人それぞれなんだなあと感じたことがある。けど、そういう考え方だとしんどいかもしれないと思った。
自分もネットで交流を始めてまもない頃(20年前とかです)は、熱が入った感想を送ったあとって相手からなにかしらのリアクションを期待してしまっていたフシがあった。
「すてきな感想ありがとう、すごく分かってくれていて嬉しいです、描いた甲斐がありました!」みたいな返事を期待してしまっていた。熱い感想送ってあげたんだからお礼の返事をくれるべき、と思ってしまっていた。返事が遅いとソワソワ、イライラしたりしていた。
あの頃の自分はなんだかとっても生きづらくてたいへんだったな(なんでそんなに期待してたんだろう?)と、今は他人事のように不思議に思っている。
文章のコツを知って少しラクになったこともある
SNS時代に入ってまとまった文章を書かなくなり、かしこまって何かを伝えることに対してめんどくささや苦手意識を感じることが増えた。
仕事でもメールやSNSを使うので文章術やメール術の本はいくつか読んだのだけど、自分にとってはけっこうこれがよくて、SNSのやり取りでも気持ちに余裕が持てるようになった。
「気持ちがあれば伝わる」とは思っているけど、ある程度の技術があればもっと伝わりやすくなるんだな、と感じたので、いちおうおすすめしておきます。
『文章術のベストセラー100冊』。「文章術」って無限にあってキリがないけど、ざっくりいろいろなスタイルを知ることができる本。自分に合ったものを見つける感じで読んだ。
『伝わるシンプル文章術』。自分はなんでも理屈で考えたいほうなので、ワクワクしながら読んだ。たいへん好みな考え方だった。
読んですぐ即効性があるわけではないけど、いいなと思った2冊です。