【絵心】と【画力】の違いって何だろう?画力のない絵描きが考えてみた

絵心と画力の違いってなんだろう? どっちも"絵が上手い"ってことでしょ?

と疑問に感じている人向け【絵心は「モノの特徴をつかんでデフォルメし、紙の上で再現する力」、画力は「表現したいものを絵で表現する力」と定義して考えてみたら、画力を伸ばすにはどうしたらいいのか? のヒントにもなった】という記事。

【絵心】と【画力】の違いについて画力のない絵描きが考えてみた

絵心とは「モノをとらえて紙の上に再現する力」

まずは【絵心】という言葉。

意味的には、

絵心:

絵をかく心得や趣味。また、絵を理解する能力。「絵心がある」

絵をかきたい気持ち。「絵心が動く」

デジタル大辞泉(小学館)

つまり"モノの特徴をつかんでデフォルメし、紙の上で再現する力"だと言えるんじゃないかと思う。

こちらのツイートではもっと具体的に、「例えば、モノの立体感をつかんで再現できることでは?」ということをおっしゃっている。

個人的に、ロビンマスクの額に傷が入っているバージョンなのがツボです。

画像の中で「立体に気づけていた子が、絵が上手だともてはやされていた、僕もそれで自分が絵が上手いと勘違いをしていた」と書いておられるように、だいたいの「絵が上手い人」というのはこちらの【絵心】があるパターンが多いと思う。

つまり、絵を描きたい人・絵が上手くなりたい人は"【絵心】があるね"レベルではあるんだけど、それより上を目指したくて伸び悩んでいるんじゃないかしら。

それより上にあるのが【画力】なんだと思う。

みんな「画力ほしい……!」とは言うけど「絵心ほしい……!」とは言わないもんね。

絵を描いている人は、たいていみんなすでに【絵心】は持っているからだ。

画力とは「表現したいことを絵で伝える力」

【画力】についての自分の定義としては、"表現したいことを絵で伝える力"だと考えている。

と思ったら辞書の意味そのままだった。

画力:

絵で表現する力。「画力の高い漫画家」

デジタル大辞泉(小学館)

つまり、【画力】はそもそも表現したいことがなければ成り立たない。

【絵心】は"モノを見てそれを紙の上に再現する"ということなので、伝えたいことがなくても再現さえできれば「絵心があるね〜」ということになる。

しかし【画力】はそれだけだとちょっと弱い。

「ただ上手いだけ」の絵を"【画力】がある"とはなかなか言わないんじゃないかと思う。

そこらへんがよく「あの漫画家は画力がある」「いや単に小器用なだけであんなの画力じゃない」みたいな論争になったりする。

【画力】については「画力が高い、画力が低い」なんていう言い方をするけど【絵心】は「絵心があるか、ないか」。【画力】は上げていくことができるものなのに対して、【絵心】は有るか無いかのどっちかしかないのも興味深いところ。

だから絵描きはみんな【絵心】より【画力】を渇望していくのかもしれない。

【絵心】で終わらせないためにできることを考えてみた

絵がちょっと上手い、という程度の【絵心】で終わらせないために、じゃあどんなことをしていったらいいんだろう?

【画力】が表現したいものを表現する力なのだとすれば、【画力】を伸ばすには"自分が表現したいものがあるかないか"というのがポイントになってくるのではないか。

センスを磨く=自分が何を表現したいかを見つける

センスを磨く、という言葉はありきたりすぎてばくぜんとしてしまうけど、自分は「センスを磨くということは、自分が何を表現したいかを見つけること」だと考えている。

上の記事にも書いたのだけど、くまモンのアートディレクターである水野学氏は「センスというのは多くの知識を身につけてそこから最適なものを選び出す力なのだ」と言っている。

自分がセンスを磨くために心がけているのはこんな感じ。

  1. インプットをする(流行りや定番にたくさん触れる)
  2. 「自分だったらどう描くか?」
  3. 描くために足りない技術を補う練習をする

人間はただの器なもんで、なんの影響も受けずに自分の心の中で発生するなにかすばらしいもの、なんてものは無い。「流行りも人の作品も一切興味ない! だれの影響も、なんの影響も受けたくない!」なんて言っていてはすぐに行き詰まる。(自分の経験です)

食べなければ出ないのと同じで、真珠だって核を入れなければできないのと同じで、「自分が何を表現したいか」なんて、やはりインプットしなければ生まれてこない。

テーマを設定して描く練習

あとは、「伝えたいことを絵で伝える」という力を鍛えるには、テーマを設定して描く練習も効果的だと感じる。

手癖でざかざかっと描いた絵に「何か伝えたいこと」があるかというと、そうではないと思うから。

なんとなく手癖でいい感じに描けちゃったからSNSに投稿するというのも楽しいのだけど、それだけではなく、まずは「何を伝えたいか」ありきで描いてみというか。

【絵心】を越えていきたい

【絵心】ってけっこうみんな普通に持っているものな気がする

"【絵心】がある"で止まってしまっていて、「自分は絵が上手くならない、画力が上がらない」と苦しんでいる人って多いと思うのだ。

自分も子どもの頃からいわゆる【絵心】があったタイプで、なまじっか【絵心】を人に褒められていい思いをしたばっかりに、大人になっても絵を描き続けるハメになっている。

でも単に【絵心】がある程度のことで「自分は絵が上手い」「絵で食っていきたい」「絵で人に負けたくない」みたいに思ってしまうと、すぐに挫折は訪れてしまう。(自分には訪れた。)

今まで認められたり褒められたりして、自分が絵が上手いと思ってきたのは、【絵心】なだけ。

言ってみればたまたま持ってた、まぐれみたいなもの。で、自分の感覚だけど【絵心】ってクラスで言えば3分の2くらいの人は持っているような、けっこう一般的なもの。な気がする。ホットプレートくらい?(適当なたとえです)

【絵心】のプライドを早めに捨てる

自分が小学一年生を教えていたとき、「え、みんな絵が上手いな!?」と驚いたことがある。(普通の公立の小学校です)

というか絵に特別の苦手意識がある数名以外はなんなく絵を描いていて、「私の子どもの頃、自分は絵が上手いと思っていたけどみんなそれくらい、もしくはそれ以上に上手い! 私って普通程度だったんだな……!! それを私は今の今まで30年ドヤ顔して生きてきたのか……!?」という衝撃を受けた。

これにいつ気づくかってことも大事なのかも。あんまり早く気づいてしまうと「自分は絵が得意だ!」みたいなモチベーションもガソリンにできないし、大人になっても気づけないと変なプライドに邪魔されるし。

たぶん、自分のようにちょっとばかりの【絵心】が中途半端なプライドになってしまい、【画力】を身に付けることができないでいる人って多いんじゃないかと思う。「自分は絵が上手い。自分の個性を大切にしたいから流行りモノなんか観たくない」とか「自分には絵心があるから他人の作品から学ぶ必要はない」とか。

でもその程度の【絵心】ってクラスのほとんどが持っているような、ホットプレートの普及率くらいのもので、「うちにはホットプレートあるんだぜ!!!」なんていばれないようなものなのかも。

そこからさらに【画力】を身につけて向上させていくためには、自分が表現したいものを突き詰めたり、より忠実に表現するために意識的に技術を磨いたりする必要があるんだと思う。

【絵心】があるのと【画力】はまったく別の話。だったらまた一から積み上げていくしかないんだろう。

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