絵が上手い神絵師への嫉妬が苦しい…羨ましいのは本当に画力なのか?

「この人年下なのになんでこんなに上手いの! 私は長年描いてきたのにこんな絵しか描けない……」

「悔しい、才能の違いがつらい、私は神様に選ばれなかった絵描きなんだな……絵を描く気力がなくなった」

と、絵が上手い人に嫉妬してしまって苦しい人のための【嫉妬を抜け出す方法】についての記事。

今はSNSがあるぶん、嫌でも他人の動向が目に入ってくる。

そうすると苦しいのが【嫉妬】の感情。

自分も絵に限らず嫉妬だらけの人生で、「どうにかして抜け出さないと、このままでは苦しみのあまり死んでしまうのでは」というくらいに追い詰められていた。だから、抜け出す方法をあれこれ試した。

そして分かったのは、【嫉妬】というのは"自分の本当の望みは何か"ということを教えてくれる、ただの指標だったということ。

自分は『何』に対して『どんな』激情を抱いているのか。それは『なぜ』?

そこを冷静に見つめることで、自分は本当は何を求めていたのか、本当はどうしたかったのか、が分かってきた。

本当は何が欲しかったのかが分かると「なーんだ」とスッキリしたり(拍子抜けしたり)、「ではどうするべきか・何をするべきか」と具体的な行動の計画を立ててワクワクしたりして、負のループから抜け出すことができた。

この記事には慰めも励ましも無い。

ただ、自分が本当の望みを知って楽になった方法・経緯について書く。

まず「自分は何に対して嫉妬しているのか」を知る

「神絵師」の絵は上手くて、色もセンスが良くて、いいねがいっぱいついて、みんなに「上手い上手い」って言われて、フォロワーさんとも気さくに明るく元気に交流できてて、書籍化が決まったりして、あのアーティストとPVでコラボしたりして、あの有名人からもTwitterをフォローされてたりして。

確かにいろいろ羨ましいけれど。

羨ましすぎて存在自体イライラする! 見たくないからミュートやブロック……みたいにしてしまうと一つも苦しみが解決しない。

その人をブロックしたとてまた別の神絵師が続々と現れて、そのたびに苦しい思いをしなければならなくなる。

自分はその人の何が羨ましいのか。

分かんないけどとにかく全部羨ましいんだよ! ではなく、ダウジングのように探っていくとどこか特別に激しく反応するポイントがあるんじゃないだろうか。

羨ましいのは本当に「画力」なのか

自分の心に確かめておきたいのは、羨ましいのは本当にその人の"絵の上手さ"なのかということ。

私の場合はその神絵師がみんなから認められて、絵によって存在意義を確立している(ように見えた)ことにひどく嫉妬していた。

なぜなら私は自分のことを価値がない人間だと思っており「私だって絵が上手くなりさえすれば価値のある人間になれるのに……!」と日々ギリギリしていたから。

これは画力がうらやましいんじゃなく、「その人に価値がある(ように見えた)こと」がうらやましかったということだ。

羨ましいのはどこだろう?

何をツイートしてもたくさんいいねがつくから。

フォロワーさんたちと楽しそうに交流しているから。

フォロワーさんたちに「あの人センスいいよね」と一目置かれているから。

スカウトされて商業で仕事を始めているから。

なぜか有名なイラストレーターと相互フォローだから。

こうして見ると、どれも「絵が上手い」とは直接関係ない。絵が上手いことでなんらかの恩恵に預かっていて、それが羨ましいということ。

「絵が上手くて羨ましい」と言うのではなく「商業で漫画描いてて羨ましい。そのつながりで有名な漫画家さんとも交流していて羨ましい」と言ってみると、自分の気持ちがはっきりしてくる。

「自分にも手の届く程度の絵描きが、いい思いをしている」

そもそも人間は、自分よりはるか上の人には嫉妬を感じない。

つまり嫉妬している時点でその"神絵師"はそこまで大したことない、手の届く範囲にいるってことになる。

これって言い換えると「私だってもうちょっとがんばればそれくらい描けるし!」程度の相手が、自分より良い思いをしていることにイラついている、ということにならないだろうか。そう思うとさすがにちょっと冷静になってくる。

相手が年下だったりするとよけいに「年下のくせにいい思いしやがって面白くない」というふうに感じるのかも。学校や会社の先輩・後輩制度の影響なのか、年下というだけで格下に見てしまう傾向ってどうしてもあるみたいなので。

※特に年齢に対して強いこだわりを持っている場合、こちらの記事も参考になるかもしれません。

「画力とかどうでもいい! チヤホヤされてえよー!」でもいいと思う

あの人は、絵が上手いという存在意義を持っているから

あの人は、絵が上手いからってチヤホヤされているから

「私だって神絵師とか言われてチヤホヤされてえよー!」

という気持ちを、

「絵が上手くていいなあ、私も絵が上手くなりたいな……」

というきれいな言葉でごまかしてしまってるのではないか。

「私はチヤホヤされたい!」と思うのって、なんだか自分がどうしようもなく俗っぽい人間みたいに感じて、ついふたをしたくなるかもしれない。

でも人にチヤホヤされたいと思っても当たり前だし、他人ばっかりもてはやされていれば面白くないのも当たり前。褒められたい、認められたい、大切に扱われたい。そう思って当たり前だ。

それを「いいえ私はそういうのじゃなくて……。いいねなんかいらないんです。人からどう思われようが興味ないです。純粋に画力だけが欲しいのです。絵の上手さを純粋に尊敬して、うらやましく思っているのです」なんて変にフタをしようとしたために、自分の場合はよけいにこじれてしまった。

第一「純粋に絵が上手くなりたいだけ」だったら、私は歯から血が出るほど嫉妬したりはしなかったんじゃないか。コツコツ努力を続けてとっくに神絵師になっていたと思う。そうじゃなかったから苦しかったんだと思う。

「私だってチヤホヤされてえよー!」と思う気持ちがあるなら、素直に認めてしまえばよかった。それが正しく自分の望みなら。

自分のまわりを見ていても、「俺もチヤホヤされてえよー!」「センスいいって言われたいよー!」「仕事くれー!」と本心を素直に言える人ほど、あっという間にそのような立場になっている。

自分はどんな絵を描きたいのか

「画力欲しいー絵が上手い人羨ましいー下手でつらいー」

と言ってるだけなのは、

「痩せたいー痩せたいーあーどうやったら痩せるんだろデブつらいー」

と言いながらポテチをつまむ女子みたいな感じで、まったく意味がない。(これも自分の経験です)

ダイエットのアドバイザーみたいな人がよく言うのは、「太ってて何がつらいのか、いつまでに何キロ痩せたいのか、痩せて何がしたいのかをハッキリさせましょう」ということ。

絵も同じだと思う。

自分は何をどう描きたいか、その絵をどう認められたい(褒められたい)のか。

自分がどんな絵を描きたいか、どんなふうに認められたいかが分かると、むやみに嫉妬もしなくなる。

例えば私は仕事で似顔絵を描くにあたって「名刺の似顔絵を見て取引先の人が思わずニヤッとしちゃって、その場の空気が一瞬ゆるむような似顔絵を描きたい」というビジョンを持っている。

これは中学生の頃に先生の似顔絵を描いてクラスメイトに「ふふっ、似てる」と言われたことや、会社の飲み会で似顔絵を描いたら「なんだー、あなたって面白い人なんじゃん。いいね! 普段もそういう面白さ出していいんだよ!」と言われた経験などを思い出しているうちに、気づいたことだ。

自分は「絵が上手いね!」と言われたいんじゃなく、自分の絵を見てニヤッとしてほしかったんだな、ということに。

この世には上手い似顔絵も無限にあるし、そっくりな似顔絵も無限にある。

でも自分が描きたいのは「なんかニヤッとしちゃってその場がゆるむ似顔絵」なのだとハッキリ自覚してからは、上手い似顔絵を見ても自分の目指すものとは違うので嫉妬は感じないようになった。

(「この人の絵、悔しいくらい上手い!」とかは思うし「どこか真似できるところはないかな」とも思うけど、そういう嫉妬はつらくなくて、気持ちがいい。)

逆に、自分のビジョンがないときは全部に嫉妬しなきゃいけなかったので、とてもしんどかった。

無限にある上手い似顔絵やそっくりな似顔絵、全部に嫉妬していたら気が違ってしまうし、すぐに「私が描く意味なんかない」ひいては「私なんか生きる意味がない」みたいになってしまう。

今、嫉妬がつらくてどうしようもない人は、そうやって自分が今何に嫉妬しているのか分からないまま「とにかくつらい」しか言えないでいる状態なんだと思う。

脳の棚卸し【ブレインダンプ】をやってみる

でも本当の望みというのは、心の迷路の奥にしまい込まれていてなかなか「これだ」と分かりにくい。場合によっては、フタもされていたりする。

私が試してみたものの一つに【ブレインダンプ】というのがある。

最近でこそ【ブレインダンプ】なんて名前がついて、いかにも自己啓発系メソッドっぽい感じになっているけど、昔からある心理学的手法の一つ。

心というのは複雑で、都合の悪い想いや体裁の悪い望み(「チヤホヤされてえよー」とか)は深くしまいこんで蓋をして隠してしまったりするので、日常生活では意識できていないことが多い。

そこで脳の中身(ブレイン)を全部出して(ダンプ)、自分の本当の望みを確認する

要するに考えていることをいったん全部書き出して、一つ一つ確認していくというもの。

絵の悩み以外にも、モヤモヤしてきたらたまにやるようにしている。

用意するもの

用意するものはこれだけ。

  • コピー用紙
  • 鉛筆とかボールペン
  • スマホ(時間をはかる)

スマホのメモ機能に入力するより自分の手で書いた方がおすすめらしい。

気持ちが字の大きさや強さにも現れたり、書くときに強い抵抗を感じたりするので、より自分の気持ちが分かりやすいのだとか。でも私はスマホでやったりします。自分の思ったことをより素直に出しやすいほうでいいと思う。

時間は好みでいいけど、最初は10分くらいがやりやすいかも。(延長してもいい)

どんなことを書くか

書き出すことはこんな感じ。

  • やりたいこと
  • やりたくないこと
  • やる必要があること
  • 今思っていること、気になっていること

創作活動についての気持ちを整理したいなら、まずその辺りのことから書き出していく。

すると関係ないように思えることも浮かんでくるので、それも全部書き出す。

「神絵師って言われてみたい」「Twitterの絵が認められて仕事が舞い込んでくれ〜」「自分はメカを描くのが上手いからそこを認められたい」「とにかくいいねくれ」「棒立ちしか描けない」「みんなに上手い上手いってチヤホヤされたい」「アイス食べたい」「チケット代の振り込みをする」「コンビニ遠くて嫌だ」「もう絵の努力したくない」「Twitterで人の絵にお世辞言うのやだ」「好きな人だけTwitterのリストにしたい」「ワンパターンの棒立ちポーズしか描けなくて恥ずかしい」「センスないつらい」「デッサンはやりたくない」……

こういうのを、制限時間が来るまで書き出す。

誰に見せるわけでもないので、汚いことも醜い言葉も個人に対する恨みとかも、なんでもいっぱい書いてよい。

出し切った脳の中身を眺めてみる

頭が空っぽになるまで脳の中身をぶちまけていくと、しまい込まれていた本音がちょいちょい混ざり出す。

ばくぜんと「絵が上手い人が羨ましい」という言葉で片付けてきてしまったことが、

「あー、自分は絵描くのしんどくなってるのか」

「誰かに認めてほしいと思ってるんだな」

「もっとメカを褒められたいんだな。確かに時間かかるわりにあんまり見てもらえないの不満かも」

「棒立ちって二回も描いてる(笑)確かにいつも気にしてるわ」

など、具体的な悩みやつらさ、願い、望みとなって浮かび上がってくる。

けっこう「私はそんなふうに悩んでいるんだね、そっかそっか……」と分かってあげるだけで整理がつく部分もある。

さらに「じゃあどうしようか」ということも、なにかしらやることが思い浮かぶ。

自分の願いをかなえてあげるのだ。できる範囲で、かたっぱしから。

「棒立ちって二回も書いてるしこれだいぶコンプレックスだったみたい。手始めにポーズ集を一冊買って、ポーズのある絵を描いてみよう」

「褒められたい褒められたいって言ってるな、自己肯定感が下がっているのかも……確かに最近、達成感を得られてなかった。バレットジャーナルっていう手帳術が気になってるからそれ試してみるか」

「あの人が神絵師と交流してるのがうらやましいのか……私も話しかけてみたかったんだよね。勇気を出してリプしてみよう」

「自分はやる気なくて落ち込んでつらいのか。そういうときは肉を食べればいいって聞いたから今日は肉を食べる! 最近美味しいもの食べてなかったし」

この、"具体的になにかやることが見つかる"というのがすごくいい。

「本当は自分はこうしたかった、これをやってみたかった」

ということが分かって次の行動へとつながるから。自分が動くことができるから。

自分が嫉妬と向き合ったときの話

本当の望みを実現させるための【行動】を起こす

やってみると分かるけど、どんなささいなことでも行動することでなにかは動く。

ささいなことって……肉を食べて何かが動くのか?

いやいや、うずくまって足元だけを見て「つらい……」と言っているよりも、はりきってスーパーのチラシを調べていい肉探して、美味しいソースや焼き方を調べて、うっまい肉を自分に食べさせてあげることで得られるものってあると思う。

少なくともうずくまって「つらい……はあ……」の状況は脱せられる。

「絵が上手いって言われたい」なら……

実際の画力はどうあれ「とにかくSNSでちょっと目立って、上手いって言われたい」というなら、とりあえず"上手いっぽい絵"とか"それっぽい絵"を目指すという方法だってある。

本当に画力を上げるのはなかなかにたいへんで一生かけて取り組むようなことだけど、"上手いっぽい絵"でいいなら、ポイントを抑えればそこそこの感じで描けるようになる。

だって本当の望みが「絵が上手くなりたい!」ではなくて「上手いって言われたい!」ということなら、画力向上のために一生かけて注力する必要はない。

そこを履き違えてしまうと遠回りになる。

上手いっぽく見える絵ってどんなのかというのは、私が考えるのは例えばこんな感じ。

  • 最後まで仕上げてある
  • 手を使ったポーズ
  • 流行りの顔
  • 色塗りの一般的なノウハウがある

自分の目指すタイプの「上手さ」によって「上手いっぽい」も違うと思うので、どこを目指したいかを先ほどのブレインダンプではっきりさせることも重要になってくる。

「イラストにいいねがたくさんほしい」なら……

いいねがほしいというだけなら絵自体はそれほど上手くなくてもいいし、特に上手いっぽくさえ見えなくても別にいい、ということになる。

「いいねがたくさんほしい」にも、万単位でバズりたいのかクラスタ内でそこそこいいねを集めたいのか、フォロワーさん100くらいのアカウントで「いいねが20くらいほしいな」とか、いろいろある。(これもはっきりさせておく)

万単位でコンスタントにバズりたい

※流れやタイミングもあるのでなかなか難しいというのは大前提として。

バズっているイラストってどんなのかと見てみると、

《広く負の感情を呼び起こすもの》

  • 共感あるあるネタ
  • 時事ネタ
  • 実録告発

《広くほっこりを呼び起こすもの》

  • 子育て・ペットのあるあるネタ
  • かわいい動物のキャラが何かほっこりさせてくるもの(漠然)

「上手いね」を100個集めるために絵の練習をするとなるとたいへんだけど、「それ分かるwww」「それ私も好き!」を100個集めるのは比較的少ない労力でできる。

クラスタ内でそこそこいいねが欲しい

ジャンルの中でたくさんの人に見てほしい、というなら、

  • ジャンル内のマナーに沿ったハッシュタグを使う
  • キャラの誕生日などイベントごとに乗る
  • トレンド入りしているワードと関連するイラストをタイミングよく再掲
  • 「○○の日」みたいなのに乗っかってみる
  • セルフRTをする

「見てもらうためにできること」というのはジャンルやクラスタによっても違うし、無限に考えられる。「ゲームのようにいいねを集めたい」というのが本当の望みなら、いいねのためにあれこれと知恵をしぼるのがまた楽しいはず。(楽しくない場合、望みがずれている可能性がある。)

自分の好きな絵を描いて、それに対していいねがたくさん欲しい

「自分の好きな絵を描いて、それに対していいねがたくさん欲しい」という場合。そんな都合のいい話はねーよ! とは私は言わない。

ただ、この望みには「好きな絵を描きたい」と「いいねがたくさん欲しい」が混在している。

先ほどのブレインダンプなどで、より優先順位の高いほうはどちらなのかというところまで踏み込んで考えてみる必要があると思う。

「ぜいたく言ってないでどっちか諦めろ」ということではなく、より強く願っていることを優先させるということ。

「いちばんやりたいことやったらもう一つのことはどうでもよくなったわ」になったり、もう一つもあとから勝手についてきたりする。(まわりを見ていると、うまくいっている人ってそんな感じ。)

「センスいいって思われたい」なら……

「センスいい」と言われたいなら、色でなんとかなることってかなりあると思う。(逆に、色で台無しになることがけっこうある)

配色を一から勉強するのはたいへんなので、配色例の本を買って真似する。

例えば私はこの本を使っている。

配色パターンがたくさん載っているので、カラーコード(♯000000、みたいなやつ)をそのまま使うだけでセンスいい感じの配色になる。

私はきれいな色を眺めるのが好きなので見ているだけでも気分が上がり、気に入っています。

「とにかく注目されたい」なら……

「ぶっちゃけ絵なんか描かなくてもどうでもいい、とにかくSNSで存在をアピールしたい、私を見て、かまって」というのが望みなら、絵じゃなくて写真とかネタ投稿でもいいのかもしれない。

中古なら一眼レフも1万円以内で買えたりするし、何かタイムリーな写真(春なら桜の名所とか、流行りのカフェとか)、おもしろ写真(ペットとか)なんかをアップして、いっぱいいいねがついたらその方が楽しいかもしれない。

だって、いいねが欲しいだけなら、画力が画力がって苦しむのはバカらしい。求めているのはそこではないのだから。

「どんな絵を描きたいか」も考えてみる

「いろいろ考えた結果、それでもやっぱり私は絵を描きたいよ、絵が上手くなりたいよ」と思うなら、「絵が上手くなりたい」という漠然とした言い方ではなくて「自分はどんな絵が描きたいか」をハッキリさせる。

「どんな絵が描きたいかが大事、って? そうは言われてもよく分からないよ、とにかく上手い絵が描きたいの!」とうやむやなままになってしまっている人も多いのではないだろうか。私もそうだった。

これを考えるコツとしては、

自分の絵をどんなふうに褒められたら嬉しいだろうか。

と考えてみるといいと思う。

実際に、脳内の架空の他人に言ってもらう(架空のフォロワーさんにリプしてもらう)とイメージしやすい。

「色のセンスがいいですね」

「デッサンが完璧ですね」

「物語が浮かんでくるようなイラストですね」

「キャラの考察が深くて鋭いですね(二次創作の場合)」

「わ、似てる〜笑(似顔絵の場合)」

言われて心の奥から嬉しいと感じるのは、どんな言葉だろうか。

もしくは過去に、言われてすっごく嬉しかった言葉はないだろうか。

それが自分の"描きたい絵"なんじゃないだろうか。

自分の場合、身の丈に合わないデザインの仕事をしていたので「上手い」「センスいい」と言われなければいけない、と焦っていた。まれに褒められてもぜんぜん満たされなかったし「絶対にお世辞だ」としか思えなかったし、デザインの仕事にも自信が持てず、ずっと見えない何かと戦っている感じだった。

そんなときに飲み会で描いた似顔絵を「似てる〜」と言って笑ってもらったのがとても嬉しくて「私の本当の望みはこっちだった」と気づいた。

あとは実際に言われて嬉しかった言葉・嬉しい言葉を思い出してみる。

「褒められたことなんてないよ!」と思うかもしれないけど、ある程度長く絵を描いてきて人にも見せてきたのなら、なにも無いってことはないはず。

「絶対お世辞でしょ」とスルーして受け取らなかっただけかもしれない。

子どもの頃でもいい、幼稚園くらいの記憶がある人ならそこまで遡ってもいい。

どうしても思い出せなければ、脳内の架空の他人に褒め言葉をいろいろ言ってもらって、自分に効く褒め言葉を探ってみるのでもいい。

さああとは行動するだけ

自分の本当の望みが分かれば、あとは行動をする。

私の場合は、自分の描きたいように似顔絵を描いて、SNSにアップして、ごくたまに「この感じ、なんか好き」みたいな反応をもらって、それがすごく満たされた。嬉しくて楽しいからまた描いているうちに「自分の存在価値とは……」なんて考えなくなっていた。

ネガティブな気持ちって、行動することでしか払拭できない。

たぶん人間のシステムってそうなってる。

当面の目的地が決まると、とりあえず歩けるようになる。

もちろん、一回やっただけで全部の嫉妬が吹き飛んでめでたしめでたし、というわけにはいかないと思う。

心にはサイコロックみたいに何重にも鍵がかかっていて、一個や二個壊してもまだ解決しないこともある。(そんな簡単に全部心が開けっぴろげになったらそれはそれでマズいので)

「まだなんかモヤるな」「新しいモヤりが来たな」と思ったらまた探って、壊して、また探って、と繰り返していくものなのでしょう。

自分はこれを、悩んだときに目線を上げる手順として使っています。

おまけ:全部読んだけどしっくりこなかった場合

今まで全部読んでみて、「うるさいうるさい! ぜんぜん意味わからん! 描きたい絵なんか無いし! とにかく絵が上手い人が羨ましいんだよ!」っていう人は、それってもしかすると、絵は関係ないかもしれない。

いわゆる【承認欲求】とかではなくて、それ以前の問題なのかもしれない。

単に「誰かに自分を認めて欲しい」という欲求なのかもしれない

もちろんそういう気持ちは持ってて当たり前で、全然いい。「でもそんなの浅ましいから」とふたをしてしまいがちだから厄介なのだ。気づけたら万々歳。

これも自分がやってみたことなんだけど、

まずは食べたいものをおいしく食べて7時間くらいゆっくり寝て、「そうかそうか、気づけなくってごめんね。つらい思いをさせてしまったね。もう無理に絵なんか描かなくていいんだよ。もちろん描いてもいいし、やめてもいいんだよ」と自分に言ってあげる。

ちょっとじーんときたら効いている。(私は自分で自分にこれやって号泣した)

認めてほしいのは絵ではなく、例えばもっと仕事を認められたいのかもしれない。家族に愛されたいとか、恋人(配偶者)にかまって欲しいとかなのかもしれない。突き詰めていけば「自分で自分を認めてあげたい(自分を好きになりたい)」なのかもしれない。

そこらへんを自分で分析してスッキリしたいという場合も、ブレインダンプみたいな方法は使えるかもしれません。

カッコつけなくていいので、紙やスマホの画面に向かって愚痴とか泣き言を思いっきり書き散らした後に「……というわけなんですけど、じゃあ自分はどうしたいのか?」と急に真顔になって言ってみる。悲しみや苦しみに浸らないで、真顔になって言ってみる。

そうすると「はっ……」となって「じゃあこうしてみるか」となって、やり始めるとケロッとします。人間なんてみんな単純なんだ……。だから人類はここまで続いてきたんだきっと。

まだまだ全然いろいろ落ち込むけど、うずくまり続けることは減ってきました。

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