イラストの練習をしたいけどあまり時間が取れない。
毎日短時間で続けられるような、負担になりにくいイラストの練習メニューってどんな感じで組めばいいかな……
という人向け【毎日30分で続けられるイラストの練習メニュー例①30分の部分模写②クロッキー10分×3③クイックスケッチ5分×5】などを考えてみた記事。
「イラストの練習をしたいのに時間がとれなくてできない」という人って多いと思う。
自分もまとまった時間がとれなかったり、せっかく時間がとれたのにやる気が出なくて焦ったり、結局思うように進まず自己嫌悪に陥ったりして、あまりよろしくないサイクルにハマってしまっていた。
どうしても何時間もぶっ続けで描けるような時間ってとりにくい(年齢を重ねると体力的にも難しくなってきた)ので、「毎日少しだけやる」というふうにしてみたら気力体力の両面においてけっこうよかった。そんな毎日30分程度の練習メニューについて。
続けやすい短時間の練習メニューいろいろ
自分は一応の一応レベルだけど高校の美術科受験と美大受験を経験しており、その頃の練習方法を思い出しつつ、今の自分でも無理なくできるよう極限まで簡略化しつつ、メニューをいくつか考えてみている。
部分模写30分×1本
「模写練習をするといいよ」というのはよく言われるけど、長時間の集中が求められるのでかなり疲れる練習だと思う。30分でというのも難しいし。実際、今やってみようと思っても中高生のときのような体力気力はすでに無かった……。
なので自分は、「手」だけとか「耳」だけみたいな部分模写にしてみている。これならじっくり30分もかければある程度は納得いくまで描ける。
特に「手」は練習すればするほど絵が上手く見えるパーツでもあるので、手間のわりにお得度も高い。
※自分の手を見ながら描くにせよ写真に撮るにせよポーズや角度、バリエーションが限られてしまうので、手のポーズ集を使うほうが捗る気がします。
※本を模写する場合、毎回描くページを探す手間を省きたいので、描くページを撮影してカメラロールに入れています。
クロッキー10分×3本
「つまらない」とか「効果がない」とか言われてなにかと嫌われているイメージのあるクロッキーだけど、時間がないときこそサクッとできるのがクロッキーかもしれない。
そもそもクロッキーが嫌われがちなのって、じっくり絵を描きたいときに「サッと10分で形を取らねば!」みたいになるから焦るんだと思う。だったら「絵を描く時間が30分しかない!」というときにこそ、クロッキーは向いているのではないか。
自分の中高生の頃を思い出してみても、クロッキーってちょっとした空き時間のラクガキ感覚でやっていた気がする。
理屈では10分くらいでやれば3本できるけど納得感が中途半端になりがちなので、自分の場合は同じポーズを3回描いてみるようにしている。
同じものを隣に並べて3回描くのだけど、「ここがとらえきれていなかったから、次はもっとここをこう描いてみるか」みたいな感じで改善していけるし、「1回目より3回目の方が上手くなってるな」と納得や満足もしやすい。
クロッキーの感覚が分からない場合はクロッキー本の模写をしてみることもできるし、推しを気軽にクロッキーしてみるのも楽しい。
クイックスケッチ5分×5本
人体の動きをとらえる「クイックスケッチ」も短時間の練習に取り入れやすいと感じる。
実際のモデルさんを呼んで描くクイックスケッチ会などもあるけど、ご家庭ではそうもいかないのでYouTubeを観ながらちょこっとやる"なんちゃってクイックスケッチ"をやってみている。
と言っても動画やテレビを観ながら目についた人間の動きをパパッと描きとめる程度の気軽な感じ。
初心者向けなら『sensei』の無料動画講座がちょうどいいボリューム感
ごく初心者の場合で「何から始めたらいいか迷ってしまう」という場合なら、pixivが運営するお絵描き講座『sensei』はちょうどいいボリューム感なのではないかと思う。
『sensei』は大人になってから絵を始めた友人がやっていて「今日はsenseiをやる日だから(キリッ」みたいに楽しんでいたので自分もちょこっとやってみたのだけど、確かに学校ごっこのようでバランスもちょうどよくて、なんとも言えない楽しさがあると感じた。
一つの講座の動画が3分あって、それを見てから『pixiv sketch』で描いてみて投稿する、みたいな流れの練習方法なのだけど、だいたい30分くらい。
すぐに描けるよう、日頃から準備しておいていること
毎日たった30分といっても、そのためにいちいち準備をしていたのでは時間がとられて続けにくいし、おっくうになってしまう。
自分はめんどくさがりで、ヌルッとスムーズに始められないとすぐに挫折してしまうので、日頃から「すぐに描ける環境」をセットアップしておくようにしている。
- やる時間を決めておく(朝活時間、夕食後など)
- 描くものはカメラロールに保存してフォルダ分けし、探さなくていいようにしておく
- 今日の練習の終わりに、明日やることを決めておく
つまり、その時間になったら何も考えず始められるようにしておく。
3の「今日の練習の終わりに、明日やることを決めておく」というのは、たとえば「今日は手を描いたけどうまくいかなかったから、明日は◯◯の本のp35に載ってる写真の手の模写をしよう」とか、「明日忙しくて時間なさそうだな……休んでいいことにしよう。でも気が向いたら録画したあの番組を観ながら推しの動きでクイックスケッチやろう」とか、今日の反省を踏まえて、それをフォローできるような明日の予定を立ててしまう。
「できなかったな……」と思って一日を終えるのと、「今日はできなかったから明日はこれを試そう」と思って終えるのでは、メンタルのスッキリ度がかなり違ってきた。
小学校の帰りの会みたいな感じで、明日やることを決めてしまっておく・確認しておくことで、心の整理がつきやすい気がする。帰りの会でクラスのみんなで明日の予定を確認していたの、あれは理にかなっていたんだなあと思っている。
気軽に、長い目で、でも日々何かしらは得られるように
30分って短いけど、短時間でできる練習だったらけっこうやりようがあるんじゃないか? と感じるようになってきた。
今までは「完璧に描かなきゃ、上手く描かなきゃ」と思ってしまい、それは短時間だと難しいし、気持ちが追い詰められるというか、絵を描くことがしんどくなってしまったりした。
かと言って「30分とにかくムリヤリやりゃいいんだ」みたいな感じだと、どんどん雑なやっつけになってしまって何も得られないというのも身にしみて分かっている。
「気軽に、長い目で、でも日々何かしらは得られるように」と自分が心がけてみているのは、
- 一部分でも満足できたらそれでよし
- 消しゴムを使わず、隣へ描く
- 満足いかなかったら、無理せず次へ持ち越す
みたいな感じのことです。
一部分でも満足できればそれでよし
たとえば、手を模写するにしても30分では満足する仕上がりにはならないこともある。
なので、「爪を上手く描くコツがつかめた気がするぞ」とか「親指の関節の位置を把握できたな」みたいな、一部分でも「得たぞ」があればそれで上出来ということにする。だってほぼ毎日描くのだから。これからずっと長く描いていくのだから。
消しゴムを使わず、隣へ描く
これは実技の指導を受けているときにもずっと言われてきたことで、当時は「いやでも失敗したから消したいんだもん!」と思っていたのだけど、今となると「消さずに隣へ描く」の良さが分かる。これはとてもいい。
消して描き直してしまうと「どこがどうダメだったのか、それをどう直したのか」が分からなくなってしまう。テストだって間違った答えを消して書き直してしまったら、また次に同じ間違いを繰り返してしまうように。結局は効率が悪い。
「自分のできなかったところをイヤだけどいったん直視する、そして改善してできるようになった自分を目の当たりにして感動する」というのが、上達するためには手っ取り早いことなのかもしれない。
コピー用紙のような遠慮のない紙に描いたり、ボールペンで描けば消せないのでボールペンで描くのもよいと思う。
満足いかなかったら、無理せず明日へ持ち越す
毎日続けるためのいちばんのポイントというのは、「描けないときは無理をしない」なのではないかと思っている。だって毎日描くのだから。そのための明日なのだから。
「描けない! だめじゃん……」となるのではなく、「また明日やろう! 明日ならスルッと描けるかもしれないし。明日の自分よ頼んだ。今日の私は寝ます。睡眠によって感覚を整理します(適当)」という考え方をしてみている。
実際どんなにがんばってみても描けなくて焦ったものが、次の日あっけなく描けるということはよくある。これは1日で上手くなったとかではなく、時間をおくと脳がリセットされるというのもあるのかもしれない。
このあたりの自分の調子の波というか感覚も、毎日続けてみて初めて発見できたりしました。
明日の自分は自分で思っているよりも意外とできる子だったりして、明日の自分を信じられるようになってくる。
それが、毎日短時間でも練習してみて何よりよかったことです。