いいねが全然つかない! なんなの? 私ミュートされてるのかな???
なんであいつにはあんなにいいねがつくんだ? 俺のほうが上手いのに!
という苦悩を抱いている人向け、【イラストにいいねがつかない理由】について、自分の経験をもとにまとめている。
あくまでも「自分の場合はこういうことだったんじゃないか」という話なので、もし「あ、これ自分もそうかも!」と感じた方だけ参考にしてみてください。
自分で思っているほど絵が上手くないから
「私の絵はもっと評価されていいのでは? なぜ評価されないの? つらい、苦しい……」
一生背負っていかなきゃいけないように感じるこの苦しみだけど、理由はごくシンプルなことなんだと思う。
自分の評価とまわりの評価がズレている
自分は個人サイトの頃からネットで絵を描いてきたけど、思うように評価されずにずっと苦しんできた。
そしてやっとたどり着いた一つの結論、
"自分で思っているほど絵が上手くない"
これです。
自分の評価とまわりの評価がズレていたために、ずっと苦しんでいたのだ。
自己採点では80点だと思っていたのに、まわりは30点をつけた。いいねラインの60点には届かなかった。それだけ。
身もふたもないシンプルな話だけど、これに気づいてびっくりするほど楽になった。
人は誰でも【優越の錯覚】がある
社会心理学に【レイク・ウォビゴン効果(平均以上効果)】というのがあって、人は誰でも、根拠もなく自分のことを平均以上だと見積もってしまう心のクセがあるらしい。(実験をしたところ、90%近くの人が「自分の能力は平均以上だ」なんなら「上位20%くらいには入ってる」と回答したとのこと。)
これ自体は人類ほとんどみんなが持っている【優越の錯覚】なので、恥じる必要もないし直す必要もない。むしろこの適度な錯覚を持っていないと心の健康に良くないのだそうだ。
ただ、「自分では絵が平均以上に上手いと思ってるけど、これって【優越の錯覚】で自分の能力を盛っちゃってるんだよな」ということが分かっていないと「こんなに上手く描けてるのに評価されない! なぜだ! なぜだ!」と怨念モリモリになってしまう。これだと自分がつらい。
他人の芸を見て、あいつは下手だなと思ったら、そいつは自分と同じくらい。
同じくらいだなと思ったら、かなり上。
うまいなあと感じたら、とてつもなく先へ行っているもんだ。
5代目 古今亭志ん生
この有名な言葉は単なる戒めではなくて、脳のクセをかなり的確に言い当てていたのだ。
さあ、自分の錯覚に気づけたところで、ここでやっと正規のスタートラインに立てたわけです。
自分の場合は「そうだったのかー! 長年気づかなくて苦しんでたけど、恥ずかしいことしてたな……」と気が楽になり、救われた気持ちになった。いいねへのこだわりもあっさりなくなった。
でも、「よし、だったら絵が上手くなるよう練習しよう!」といいねをあきらめず奮起する人もいると思う。しかしそれだと気が遠くなるような時間がかかってしまう。
"いいねされるイラスト"を目指そうとすると途方に暮れてしまうけど、まずは"いいねされにくいイラスト"になっていないかチェックするのはすぐにできる。
イラストに強い違和感があるから
もし"いいねしづらい要素"というものがあるとするなら、それは【違和感】じゃないだろうか。
人間は嘘をつくのが苦手で、嘘をつくときに汗をかいたり脈が上がったりする。
違和感が強い場合は「いいね」とは思えていないわけなので、
「いいね」という意思表示をすることに抵抗を抱いてしまう→いいねできない
ということになる。
※「この違和感がいいね!」というのもあるけど、それはまた別の高等手段だと思います。
見過ごせないほどに人体が不自然である
「デッサンが狂っている」「骨折絵」みたいな、"人体の骨格を明らかに無視した絵"を指す言葉がある。
それの何が不利なのかというと、見る人が絵の良し悪しを感じ取るより先に違和感を抱かせてしまうからだと思う。
※逆に言うと、ちょっとくらい人体の骨格を無視していても強い違和感がなければ問題ないってことになる。実際、たとえ人体は正確じゃなくても、そんな違和感を凌駕して余りある面白さや熱量があれば支持されるマンガ作品も多い。
絵柄が古くて、時代が止まっている
「あの頃はあれが流行っていて普通だったけど、今の時代だと冗談みたいに見えてしまう」みたいなものってイラスト以外にもたくさんある。
例えばバブルの時代の肩パッドががっちり入ったスーツ。あの頃はナウくてイマい流行のファッションだったけど、今見るとみんなネタにして笑うでしょう。
メイクやファッションで例えると分かりやすいと思うけど、絵の良さを味わう前に滑稽さや違和感が先に来てしまっていると、そっちに気を取られてしまう。今の時代だと良さが伝わりにくいことってあるし、全く意味が通じないこともある。
信念があって敢えてその絵柄を守り通している場合や、今風にアレンジして再流行させている場合は別として。
最初に絵を描き始めた頃に流行っていた絵柄のまま時代が止まっている、アップデートされていないものが「古臭い」と見る人には感じられるのだと思う。
また、
"unpopular(今の流行ではない)"
ということはすなわち
"unpopular(人気がない・支持者が少ない)"
でもあるので、当然今の流行りの絵に比べるといいねも少ないだろう。
作画崩壊していて、見る人が混乱する
またアニメなんかでよく話題になる【作画崩壊】というのがある。
知人がぬいぐるみを趣味で作って販売していたんだけど、目の位置がどんどんおかしくなっていったことがあった。
「目と鼻が近いと可愛く見える」と思ってどんどん近づけた結果、目と鼻の位置が逆転してしまって、ついには目より上に鼻をつけるようになってしまった。それでも作者本人は気づかなかったのだ。
「え? 何これ? どうなってんの?」と見る人が混乱すれば、いいねどころではない。
"絵の違和感"を解決するには、人に聞くのが早い。
違和感って自分では気づけないので人に聞くのが早い。
いちばんいいのは信頼できる絵描き友達。
そんな友達いないよ……というときは、最近ではネットで依頼できる添削サービスも増えているので利用してみることもできる。
Yahoo!知恵袋とかで聞いている人もよく見かけるけど、これは誰だか分からない相手にあれこれ言われるので逆に混乱してしまうかもしれない。
何が言いたいイラストなのかよく分からないから
イラストって、「描く人のメッセージを→見る人が受け止める」ことで初めて成立する。
展覧会など"絵を見たい人が集まる場所"に出すなら、見た人が積極的にイラストに込めた意図を汲み取ってくれるかもしれない。(それをしたくて見に来ているので。)
けどSNSなどの「何か面白いものや刺激はないかなー」という人が多い場所に出す場合、イラストの意図など積極的に汲み取ってはもらいにくい。
みんな瞬間的な娯楽を求めているので、パッと分かりにくいものはスルーされてしまう。
つまり、何を言いたいのかよく分からない絵・テーマのない絵は、上手くてもいいねがされにくい。
上でも書いたけど、人間の心理として「いいね」と思っていないのにいいねはしにくいから。
テーマを決めて描き、意図が伝わりやすいイラストにしてみる。
サムネが目を惹かないから
(※今はTwitterのサムネの仕様が変わったので一概に言えなくなりました。が、自分の覚え書きのためにも以前の記述を残しておきます。
SNSでは日々たくさんのイラストが流れる。
見ている方も全部には目を通しきれないので、どうしても目を惹くサムネからタップする。
- 線が雑で画面が汚いサムネ
- 変なところ(文字のとことか)が切り取られていて情報が少ないサムネ
こういった目を惹きにくいサムネだと、クリックしてもらいにくい。
クリックしてもらう率が下がれば、当然いいねもされにくい。
また、Twitterのサムネとpixivのサムネは性質が違うので、アップするときは意識してみてもいいかもしれない。
目を惹くように、サムネのサイズ、見え方などを意識してみる。
投稿するタイミングが悪いから
「どの時間帯にアップすればいいねが増えるのか?」というのは、多くの人が一度は考えることなんじゃないだろうか。
これについては自分なりに答えを出してみたけど、私のTLにおいては【夜7時から9時のゴールデンタイムがベスト】ということになった。(※これはジャンルや年齢層にもよるので自分のTLで実際に試してみることをおすすめします)
フォロワーがTwitterを見ていない時間帯にアップしても初動が悪く、埋もれてしまって伸びにくいということもあるだろう。
時間帯が悪い以外にも、奥ゆかしすぎてセルフRTとかジャンルのハッシュタグも本当は使いたいのに遠慮しちゃう……みたいなことないですかね?
自分のTLでいろいろな時間帯に投稿してみて、どの時間帯に伸びやすいか試してみる。セルフRTとかジャンルのハッシュタグも使っていく。
ネガティブで反応に困るから
リアルでもSNSでも、「ネガティブ発言ってしないほうがいいよ」みたいな意見? 提案? 風潮? ってある。
さんざんネガティブな言動をしていた自分は、そういうふうに言われるたびにカチンときていた。ネガティブで何が悪いんだ! と。
だけど今思うのは、それって「ネガティブかっこ悪いからやめるべき! 前向きになれ!」という意味じゃなくて、単に「言われた側が反応に困っちゃうから」ってことだったんだなと。
あと、カチンときてたのは、自分でも「本当はネガティブやめた方がいいんだよな」と感じていたから。痛いところを突かれたから毎回キレていたんだなと。
自分はネガティブ発言でさんざん周囲を戸惑わせ困らせて、触るものみな傷つけてきたネガティブ大魔神だったから、まわりがどんなふうに困惑するかも今ではよく分かっているつもり。いいかげん自分のせいでまわりを困惑させたくないと思うようになったので、反応に困るようなことは言わなくなった。
自分が考える、「言われたほうは反応に困ってしまう絵描きのネガティブ三つ」を以下に挙げてみる。
「下手ですみません……」←そんなこと言われても…
これつい言いたくなってしまうんだけど、私も500回くらい言ってきたけど、見る方にとっては「そんなこと言われても困るセリフ」のナンバーワンなのではないだろうか。
第一、言われるがわは意図がわからないと思う。
「押すなよ押すなよ」みたいに「下手だからいいねするなよいいねするなよ(本当はしてほしい)」なのか?
見る人の目を汚していることに対して、謝罪せずにはいられないという「すみません」なのか? すみませんと言われたところで、こちらはどうすればいいのか?
繊細な絵描きさんが「上手くないのわかってるのでいいねしないでください……逆に傷つきます」と言ってるのを見たことがあるけど、そこまで言われてしまったらもう二度とその人の絵にいいねできない。
言い訳が多い←褒めたいけど難しい…
自分の描けてない部分に突っ込まれたくなくて「時間がなくて雑なんですけど……」「背景真っ白ですみません」「身体のバランス失敗した……」と言い訳をたっぷり添えてしまう。
これを言われるとなぜ見る側が困るのかというと、
「自分で失敗したって言ってるし、いいねするの失礼になっちゃうのかな」
と気を遣ってしまう点だと思う。
褒められても否定しちゃう←気持ちを受け取ってもらえない…
「色使いすてきです!」→「いや、適当だし全然きれいに塗れなくて……」
「とても可愛いイラストですね」→「そんなことないです、ワンパターンな顔しか描けなくて……」
つい謙遜したくなる気持ちはよく分かる。
けど、一生懸命に感想を伝えたのに全部否定されてしまうと、コミュニケーションが成立しない。
「全然こちらの気持ちを受け取ってくれない。見当違いのことを言って不愉快にさせてしまったのかな。もう伝えるのやめよう」になってしまう。
※そもそもネガティブ発言をすると何かスッキリするのかというとそうでもないかもな……ということも考えてみています。
【かまってちゃん】をして敬遠されているから
うちのブログにも「ハッシュタグ うざい」「ハッシュタグ かまってちゃん」という検索ワードで訪問している人がけっこういるんです。(そんな記事書いてないんだけど。)
SNSの使い方は人それぞれだし、楽しく使っているならそれで構わないと私は個人的には考えている。
でも"私の絵が好きな人はRT"みたいなハッシュタグが「かまってちゃんみたいで嫌悪感がある」と感じる層が一定数いるみたいだなと自分は感じた。
そもそも「私の絵が好きな人はRT」って、本人は周りのポジティブな反応を見たいだけだし、周りにしてみれば試されている気がして面白くはないのかも。
相互フォローなのにRTしないと、「誰々さんは私の絵が嫌いなんだ……」「誰々さんだけRTしてくれないってことはミュートされてるのかな……悲しい」とかエアリプで愚痴り出され、困った経験ある人もいるのではないだろうか。
ハッシュタグはここぞというときだけに使うようにすると、周囲も気持ちよく反応をしてくれるかも。
数重視でフォロワーを集めたから
"イラスト好きさんとつながりたい"系のハッシュタグでガバッとフォロワーを増やしても、思ったようにはいいねが増えなかった、逆にSNS疲れの原因になってしまった、ということも。
SNSの使い方に正解も不正解もないけど、あたたかいTLを作ってそれに見合ったいいねがほしい、ということであれば、数重視でフォロワーを増やすのは期待外れになるかもしれない。
pixivなど他の創作系SNSからフォロワーさんに来てもらうことで、最初から興味を持って絵を見てもらいやすいかも。(創作系SNSには「絵が見たい!」と確固たる目的がある人が多いので。)
フォロワーと心の距離があるから
SNSは"自分の絵を見てもらい、褒めてもらう場"ではなくて"お互い対等に交流をする場"だ。
また、SNSでのいいねは上手い下手よりも"共感を集めるかどうか"。
普段全くフォロワーと交流せずにいる人より、交流する人の方が共感を集めやすいのではないか。
自分の実力や言動を振り返ってみる
敢えてまとめるとしたらこんな感じ。
- 自分の実力を正しく捉え直し、足りないものを伸ばす
- 褒められたら素直にありがとう
- みんなで楽しむために、最低限は周囲を気遣う
- 興味を持ってくれる人に見てもらう
- まずは自分から歩み寄る
今では自分は、それほどいいねを気にせず絵を描いている。
というのは上に書いてきた通り、
- 自分が思ってるほど上手くない、ということに気づいた
- 見てくれる人のことを考えていなかったので、それを改めた
- ネガティブ発言でまわりを困らせていることに気づいたので、それをやめた
たったそれだけ。
特に"自分は思ってるほど上手くないんだ"と心から納得できたことで、かなり楽になった。それは心理のクセであって、誰でも「自分は平均より上手い」と思っちゃうもんなんだ、って。
「私は自分が思うほど描けていないんだ」とハッキリ自覚すると、「上手く見せたい」「評価されたい」という気負いがぐっと少なくなる。(ゼロにはならない。)
気負いが少なくなると絵を描くのが気楽になり、楽しくなる
↓
見てくれる人にも心を配れるようになる
↓
他の絵描きのいいところを見つけられるようになる
↓
交流することが楽しくなる
↓
フォロワーさんにもっと喜んでもらいたくていそいそ絵を描くようになる
↓
ちょっとずつ絵が上達して、もっと描くのが楽しくなる
↓
いいねの数にさほどとらわれなくなる
何かが良くなるときって、そんな感じなんじゃないだろうか。
いいねが少ないことに悩んだことがきっかけで自分の実力や言動を振り返っていたら、結果としていいねから解放された、ということになる。
自分の経験や悩みをもとに書いたこの記事が、今悩んでいる人が抜け出すきっかけのきっかけにでもなればいいなあと考えています。